翻訳夜話

2006年1月3日 読書
柴田元幸 村上春樹 文藝春秋

柴田氏と村上氏の
同じペアでいうと、ナイン・インタビューズの方が
だんぜんいいな。
翻訳の技術云々に関しての話よりもやはり、
村上氏の自分の作品に対する取り組みについてほろほろと
出てくるところが面白かった。
リズムを大切にして文章を書いている、
日本語の自分の文章は読み返す気にならないけれど、
翻訳されたものは読める、など。

あとは、なんといっても、オースターを村上氏が
訳したもの、カーヴァーを柴田氏が訳したもの、
原文が載っているのが面白い。

村上春樹はやっぱり、訳していても村上春樹
なんだな、と。

私は、原文を読むよりも、日本語で訳されたものの
方が好きだな、とも思った。表現に広がりや
豊かさが英語よりもある気がする。

村上氏は、やっぱり作家なんだな〜、感情や感覚、
才能があって書いている、話している
(ある意味アバウト、フィーリング派)に
対して、柴田氏は、とても緻密な仕事と話ぶりで、
こちらは職人気質、深遠な知識に裏打ちされて
現在がある事を感じさせられ、その対比も面白かった。

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